2009年04月16日

桜の散る頃

雨で桜も散り始め、残った花も葉桜になってきました。
毎年、桜が咲くのはとても楽しみなのですが、
はかなく散っていくのを見るのは、なんとなくもの悲しくなります。

桜の散り際が、武士の生きざまや旧軍人の潔い死に方と
結び付けられるせいでもあるのでしょうか?

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靖国神社の桜は、東京の桜の開花宣言の発表に使われます。


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靖国神社に保存されている大砲に散る桜の画像を見つけました。


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大砲は太平洋戦争のものではなく、
幕末のロシアの軍艦に搭載されていた大砲だそうです。



中学校の国語の教科書に、大岡信さんの桜についての随筆が
載っていたのを覚えています。

以下、引用です。


言葉の力        大岡 信

 人はよく美しい言葉、正しい言葉について語る。しかし、私たちが用いる言葉のどれをとってみても、単独にそれだけで美しいと決まっている言葉、正しいと決まっている言葉はない。ある人があるとき発した言葉がどんなに美しかったとしても、別の人がそれを用いたとき同じように美しいとは限らない。それは、言葉というものの本質が、口先だけのもの、語彙だけのものだはなくて、それを発している人間全体の世界をいやおうなしに背負ってしまうところにあるからである。人間全体が、ささやかな言葉の一つ一つに反映してしまうからである。

 京都の嵯峨に住む染織家志村ふくみさんの仕事場で話していたおり、志村さんがなんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかで、しかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。

「この色は何から取り出したんですか」
「桜からです」

と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつした桜の皮からこの美しいピンクの色が取れるのだという。志村さんは続いてこう教えてくれた。この桜色は一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。

 私はその話を聞いて、体が一瞬ゆらぐような不思議な感じにおそわれた。春先、間もなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裡にゆらめいたからである。花びらのピンクは幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンクに色づいていて、花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの先端だけ姿を出したものにすぎなかった。

 考えてみればこれはまさにそのとおりで、木全体の一刻も休むことのない活動の精髄が、春という時節に桜の花びらという一つの現象になるにすぎないのだった。しかしわれわれの限られた視野の中では、桜の花びらに現れ出たピンクしか見えない。たまたま志村さんのような人がそれを樹木全身の色として見せてくれると、はっと驚く。

 このように見てくれば、これは言葉の世界での出来事と同じことではないかという気がする。言葉の一語一語は桜の花びら一枚一枚だといっていい。一見したところぜんぜん別の色をしているが、しかし、本当は全身でその花びらの色を生み出している大きな幹、それを、その一語一語の花びらが背後に背負っているのである。そういうことを念頭におきながら、言葉というものを考える必要があるのではなかろうか。そういう態度をもって言葉の中で生きていこうとするとき、一語一語のささやかな言葉の、ささやかさそのものの大きな意味が実感されてくるのではなかろうか。美しい言葉、正しい言葉というものも、そのときはじめて私たちの身近なものになるだろう。
                                   (中学校『国語2』、光村図書出版)


以下、卓男の感想です。

改めて読んでみて、桜の花を咲かせるために一年間貯えた木のエネルギー、
それを木の皮、幹、根、全体で桜色を作り上げているのだという深い事実と、
その話に感銘を受けて、私達に教えてくれた大岡さんの美しい表現力に感心させられます。
また来年までしっかりと葉をひろげて、きれいな桜の花を見せてほしいものです。

人間も桜に負けないよう、言葉の使い方ひとつにしても、
考えて大切に選んでいこうと思います。
ブログでも、誤字脱字に気をつけて、きれいな日本語を使うよう、
心掛けようと思います。
posted by 卓男 at 21:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
言葉の力〜本当にそう思います。
卓男さんを見習い私も心がけたいと
思います。
Posted by まーねぇ at 2009年04月17日 17:03
>まーねぇさん
「言葉の力」中学生の教科書に載っていたのですが、
改めて考えさせられますよね。
長文を読んでもらって、ありがとうございました。
Posted by 卓男 at 2009年04月17日 20:06
ワタシも誤字脱字はもちろん、
言葉の使い方が悪いせいで、人間関係をうまく築くことができていないところがあります(┬┬_┬┬)

よく読んで、これからに活かしていきたいです!
Posted by かのちゃん at 2009年04月18日 14:14
>かのちゃん
誤字脱字や言葉の使い方って、ふだん意識していないけど大切ですよね。
お互いにきれいな言葉を使うよう、気をつけましょうね。
Posted by 卓男 at 2009年04月18日 15:43
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